VOL.4 膝の痛みについて

膝の痛みに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。膝が痛い時、無理に動いてしまったり、自己判断で対処を続けると、かえって治りを遅らせてしまうことがあります。 実際、膝の痛みを我慢して過ごした結果、症状が重くなってから受診される患者さんが多くいらっしゃいます。膝は日常生活に欠かせない関節であり、適切な対処をしなければ変形性膝関節症など深刻な状態へ進行するリスクがあります。 この記事では、膝が痛い時にやってはいけない具体的な行動、痛みの原因、そして適切な治療方法について詳しく解説します。正しい知識をもって対処することで、膝の痛みの悪化を防ぎ、早期回復につなげることができますので、ぜひ最後までお読みください。

膝が痛い時やってはいけないこと①無理に動き回る

膝が痛い時やってはいけないことは痛みを無視して無理に動き回ることです。痛みは体からの重要なサインであり、無視して活動を続けると炎症を悪化させたり、関節軟骨や靭帯を損傷したりする恐れがあります。 特に日頃からスポーツをする方は、スポーツを休みたくないという気持ちから痛みを我慢して動いてしまいがちですが、これは回復を遅らせる原因となります。膝の使いすぎは慢性的な障害につながるため、痛みがある時は適切な安静と休養が必要な場合があります。特に以下のような行動は避けるようにしましょう。

激しい運動やスポーツを続ける

膝に痛みがあるにもかかわらず激しい運動やスポーツを続けることは、関節の炎症を悪化させ、変形性膝関節症などの慢性疾患へ進行させる原因となります。 ランニングやサッカー、バスケットボールなどのスポーツは、膝に体重の数倍もの負荷がかかります。特にジャンプ動作や急な方向転換を伴うスポーツでは、関節軟骨への衝撃が大きく、損傷のリスクが高まります。 痛みを感じながら運動を続けると、無意識に痛みをかばう動作をするため、体のバランスが崩れて他の部位にも負担がかかります。また膝が腫れていたり、熱をもっている場合は炎症が進行している場合がありますので、運動は控えましょう。 運動を再開する際は、整形外科医や理学療法士の指導のもと、段階的に負荷を上げていくことが重要です。無理な復帰は再発や悪化のリスクを高めるため注意が必要です。

階段の上り下り

階段の上り下りは、平地を歩くよりも膝への負担が大きく、膝が痛い時やってはいけないことの一つです。階段を上る時は体重の約3~4倍、下りる時は約4~6倍の力が膝にかかるとされています。 特に階段を下りる動作は、膝の前面にある膝蓋骨に大きなストレスがかかり、軟骨を傷める原因となります。エレベーターやエスカレーターがある場合は積極的に利用し、やむを得ず階段を使う場合は手すりにしっかりとつかまり、ゆっくりと動作することが大切です。

長時間の立ち仕事や歩行

長時間立ち続けたり歩き続けたりすることも、膝の痛みを悪化させる要因となります。立った状態では常に膝に体重がかかり続け、関節に負担が蓄積していきます。 特に接客業や販売業など立ち仕事をされている方は、適度に座る時間を作ることが重要です。また、クッション性の高い靴を履くことで、衝撃を吸収し膝への負担を軽減できます。 痛みが強い時期は、外出自体を控える工夫も必要です。膝に負担をかけない生活習慣を意識することが、早期回復への近道となります。

膝が痛い時やってはいけないこと②放置して受診を先延ばしにする

病院の受診を先延ばしにすることも膝が痛い時やってはいけないことの一つです。膝の痛みを感じても、多くの方が様子を見ようと受診を先延ばしにしてしまいます。しかし、適切な診断と治療が遅れると、症状が慢性化したり、より深刻な状態へ進行したりするリスクが高まります。 早期に受診することで、原因を正確に特定し、適切な治療を開始できます。また、重大な疾患が隠れている可能性もあるため、自己判断で放置することは危険です。 以下の表は、受診が必要な症状の目安をまとめたものです。これらの症状がある場合は、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。
症状 緊急度 考えられる原因
激しい痛みで歩けない 高い 靭帯損傷、半月板損傷、骨折など
膝が腫れて熱を持つ 高い 化膿性関節炎、痛風、関節リウマチなど
膝が曲がらない、伸びない 高い 半月板断裂、関節内遊離体など
2週間以上痛みが続く 中程度 変形性膝関節症、慢性炎症など
徐々に痛みが強くなる 中程度 軟骨損傷、関節炎の進行など

痛みを我慢して様子を見る

痛みを我慢して様子を見ることは、診断と治療のタイミングを逃し、回復を遅らせる原因の一つです。 多くの方が少し痛いくらいなら大丈夫だろうと考えて受診を控えますが、膝の痛みは放置すると悪化する疾患もあります。特に変形性膝関節症は初期段階では軽い痛みしか感じない場合が多いですが、進行すると軟骨がすり減り、骨同士が直接こすれ合う状態になってしまいます。 そのため、痛みが数日続く場合や、日常生活に支障が出ている場合は、早めに整形外科を受診することをお勧めします。早期発見・早期治療により、多くの場合は保存的治療で症状を改善できますが、進行してしまうと手術が必要になることもあります。 また、痛みを我慢していると痛みをかばう動作が習慣化し、体のバランスが崩れて腰痛や股関節痛など他の部位にも問題が生じることがあります。

腫れや熱感を放置する

膝が腫れたり、熱を持っている状態は、関節内で炎症が起きているサインです。これらの症状を放置すると、炎症が慢性化したり、関節の構造自体に損傷を与えたりする可能性があります。 特に急激に腫れて熱を持つ場合は、化膿性関節炎などの緊急性の高い疾患の可能性があります。化膿性関節炎は細菌感染により関節内に膿がたまる病気で、早急な治療が必要です。 腫れや熱感がある場合は、まずアイシングを行い、膝を心臓より高い位置に保つことで腫れの軽減を図りましょう。しかし、これらはあくまで応急処置であり、根本的な治療ではありません。症状が改善しない場合や悪化する場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。

歩行障害や力が入らないのに受診しない

膝に力が入らない、膝が抜ける感じがする、まっすぐ歩けないなどの症状がある場合は、靭帯損傷や半月板損傷などの重大な怪我の可能性があります。これらの症状を放置すると、膝の安定性が損なわれ、さらなる損傷や変形性膝関節症へと進行するリスクがあります。 特に膝がカクンと外れる感じ(膝くずれ)がある場合は、前十字靭帯損傷などの可能性があります。前十字靭帯は膝の安定性に重要な役割を果たしており、損傷したまま放置すると膝が不安定になり、半月板や軟骨を傷める原因となります。 また、階段の下りで膝に力が入らない場合は、大腿四頭筋の筋力低下や膝蓋大腿関節の問題が考えられます。歩行に支障をきたすレベルの症状がある場合は、必ず整形外科を受診し、適切な検査と診断を受けることが重要です。

膝が痛い時やってはいけないこと③自己判断で薬や治療をする

膝の痛みに対して、自己判断で市販薬を長期間使用したり、民間療法に頼りすぎたりすることも避けるべき行動です。適切な診断なしに症状だけを抑える対処を続けると、根本的な原因が見過ごされ、気づいた時には症状が進行していることがあります。 医師の指導なしに様々な治療法を試すことは、症状を悪化させる原因にもなります。特に注射や強い薬を繰り返し使用することは、副作用のリスクもあるため注意が必要です。自己判断での治療には以下のように、様々なリスクが伴います。
  • 自己判断での鎮痛薬の長期使用は胃腸障害や腎機能障害のリスクがある
  • 効果が証明されていない民間療法に頼りすぎると適切な治療時期を逃す
  • 専門家の指導なしのリハビリは症状を悪化させることがある
  • 複数の治療法を無計画に試すと効果の判定ができない
膝の痛みに対しては、まず整形外科医の診断を受け、適切な治療計画を立てることが重要です。

鎮痛薬を長期間自己判断で飲み続ける

市販の鎮痛薬を自己判断で長期間使用し続けることは、副作用のリスクを高めるだけでなく、根本的な原因を見過ごすことにつながります。 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は膝の痛みに対して効果的ですが、長期使用により胃潰瘍や十二指腸潰瘍、腎機能障害などの副作用が生じる可能性があります。特に高齢者や腎機能が低下している方、胃腸疾患の既往がある方は注意が必要です。 また、鎮痛薬は痛みを一時的に和らげることはできますが、膝の損傷や変形を治すものではありません。痛みだけを抑えて活動を続けると、知らないうちに症状が進行してしまう可能性もあります。鎮痛薬を数日使用しても症状が改善しない場合は、医療機関を受診しましょう。 医師の処方による鎮痛薬は、患者さんの状態に合わせて適切な種類と量が選択されます。自己判断での使用は避け、医師の指導のもとで適切に使用することが大切です。

注射を何度も受ける

膝の痛みに対してステロイド注射やヒアルロン酸注射を受ける方がいますが、これらも適切な頻度と方法で行わなければ効果が得られないばかりか、かえって関節に悪影響を及ぼすことがあります。 ステロイド注射は強力な抗炎症作用がありますが、頻繁にに使用すると軟骨や腱を弱める副作用があります。 ヒアルロン酸注射は関節液の成分を補充して関節の潤滑性を改善する治療ですが、効果には個人差があります。適切な診断のもと、治療計画に沿って使用することが大切で、痛みが出るたびに注射を受けるという使い方は推奨されません。

効果不明のサプリや民間療法に頼りすぎる

グルコサミンやコンドロイチンなどのサプリメント、あるいは様々な民間療法が膝の痛みに効果があるとされていますが、科学的な根拠が不十分なものも多くあります。これらに頼りすぎて適切な医学的治療を受けないことは、症状の悪化につながります。 サプリメントは医薬品ではないため、効果や安全性が厳密に検証されていないものもあります。また、他の薬との相互作用や副作用の可能性もあるため、使用する場合は医師に相談することをお勧めします。サプリメントだけで膝の痛みを治すことは難しいため、あくまで補助的な位置づけとして考えましょう。 鍼灸やマッサージなどの民間療法は、適切に行えば症状の緩和に役立つことがありますが、これらも根本的な治療ではありません。まずは整形外科医の診断を受け、医学的に適切な治療を基本としながら、補完的に民間療法を利用することが大切です。

膝が痛い時やってはいけないこと④不適切な冷却や温熱をする

膝の痛みに対して冷やすべきか温めるべきかは、症状の状態によって異なります。一般的に急性期の炎症には冷却が、慢性期の痛みには温熱が効果的とされていますが、間違った方法で行うと症状を悪化させることがあります。 長時間の使用や過度な冷却、加熱は、皮膚や組織にダメージを与える可能性があります。症状に合わせた正しい方法を理解しましょう。

腫れて熱があるのに温める

膝が腫れて熱を持っている急性期に温めることは、血流を増加させて炎症を悪化させる原因となります。 急性期の炎症では、関節内に炎症性物質が産生され、血管が拡張して腫れや熱感が生じています。この状態で温めると血流がさらに増加し、炎症が強まって痛みや腫れが悪化することがあります。特に怪我の直後や、急に膝が腫れて熱を持った場合は、まずは冷やすことが基本です。 腫れや熱感が数日続く場合や、アイシングでも改善しない場合は、感染や重大な損傷の可能性があるため、速やかに整形外科を受診しましょう。

慢性痛なのに冷やし続ける

慢性的な膝の痛みやこわばりに対して、いつまでも冷やし続けることも適切ではありません。慢性期には血流を改善し、筋肉の緊張をほぐすために温めることが効果的です。 変形性膝関節症などの慢性疾患では、関節周囲の筋肉が硬くなり、血流が低下しています。温熱療法により血流が改善されると、酸素や栄養が組織に届きやすくなり、痛みの原因物質も排出されやすくなります。入浴やホットパック、湿布などが有効でないことがあります。 状態に応じてアイシングと温熱療法を使い分ける必要があるため、症状の変化を注意深く観察することが大切です。判断が難しい場合は、医療機関で相談しましょう。

まとめ

膝が痛い時にやってはいけないことは、無理に動き回ること、受診を先延ばしにすること、自己判断で薬や治療を繰り返すこと、不適切な冷却や温熱をすること、などです。これらの行動は症状を悪化させ、回復を遅らせる原因となります。 膝の痛みは、適切に対処すれば多くの場合改善が期待できます。痛みを感じたら早めに整形外科を受診し、正確な診断を受けることが最も重要です。変形性膝関節症、靭帯損傷、半月板損傷、関節リウマチなど、原因によって適切な治療法は異なるため、自己判断での対処は避けましょう。 急性期には安静とアイシング、慢性期には適度な運動と温熱療法など、症状に応じた対処を行いましょう。膝の痛みに悩んでいる方は、この記事を参考に適切な対処法で、一日も早い回復を目指しましょう。

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